rake:money拡大版@RubyKaigi2010
投稿者 おおかゆか
発端は今年の5月くらいにRubyKaigiスタッフの@ayuminからもらったメール。
「これまでのRubyKaigiはスポンサーにとってのメリットが見えにくかったので、今回はスポンサー企業を巻き込む形のセッションをやりたい。ついてはrake:moneyを主宰しているおおかさんに協力してほしい」というような主旨だった。
かくして企画を申し込んでも競争率が高くてなかなか採用してもらえないRubyKaigiで、rake:moneyが出張セッションを行うことに。通常6,000円する入場チケットがタダになるしと気楽に請け負った私。
@ayuminと何度かSkype等を通じて話を詰めた結果、企画内容はRubyエンジニアの採用を考えているRubyKaigiのスポンサー企業数社から代表の方を招き、Rubyエンジニアにまつわるテーマでパネルディスカッションを行うことに。
具体的にはrake:moneyの参加者から募った、エンジニアから企業への質問をぶつける一問一答、それにエンジニアと会社の関係はいかにあるべきかを論じるフリーディスカッションを2本の大きな柱としてセッションを進めることにした。
題して、「rake:money拡大版 〜Rubyエンジニアと企業の幸せな関係〜」。
かくして迎えた8月27日(金)、RubyKaigi初日。
タイムテーブル的には基調講演(キャンセルされたけど)が終わった直後の14:00〜16:00のコマ。
楽天、ニフティ、リコー、コンテンツワンの各スポンサー企業から1名ずつをパネリストとして迎え、セッション開始。
基調講演(がキャンセルされて座談会になってたけど)が多少伸びたせいか、14時開始予定時刻には顔見知りがちらほらいた程度だったのが、後から後から人が押し寄せ、しまいには立ち見が出るほどに!
@ayuminは「こんなに来るとは思ってなかった」と言ってたけど、どうしてどうして。サブタイトルにキャッチーな煽り文句を用いた私の作戦勝ちといったとこでしょう。
また途中でなんとMatzがうちのセッションに来てくれたというハプニング(?)も。
この期を逃すなとばかり@ayuminが突撃して「まつもとさんがRubyエンジニアに対して望むことは?」みたいな質問を。
Matzは面食らいながらも「う~ん、コンピュータサイエンスをちゃんと知っててほしいということかなー」と答えてくれた。
なるほど、私もちゃんとアルゴリズムとか勉強するようにします!(笑) @ayuminの突然の無茶振りに答えてくれてありがとうございました >Matz
そして後半のフリーディスカッション。
ここで私は持論の「日本のソフトウェアエンジニアはもっと給料をもらっていいはず。内製が増えつつある風潮の中、さらにエンジニアに企画から参加させて、それが収益を生めばエンジニアにちゃんと還元するシリコンバレー型の企業が日本でもこれから増えてくるはず」という話をし、会の流れ的にもそんな形で終わらせたかったのだけれど。
パネラーも会場も今いちピンと来ない様子で、なんか私ひとりだけが浮いている状態に。
ああ、ふだんのrake:moneyならもっとお金にガツガツしたエンジニアが多いのに(笑) 一般のエンジニアって、お金にそれほど興味ないのだろうか。
ただそれでも、会が終わってから私のところに何人か参加者が来て、「興味ある話題でした。次のrake:money参加させてください」みたいに言ってくれたので、完全に無駄な話をしたわけではなかったようだ。
(※ちなみに次回のrake:moneyは、発足以来の最多参加者回になりそうな勢い)
セッション終了後、@ayuminからはこういうセッションがRubyKaigiでできただけでも成功。しかも立ち見が出るほどの人入りだったわけだから尚更との評価を。
「じゃ、2回目もあるの?」との質問には「たぶんある」との回答。
来年の最後の(?)RubyKaigiにて「rake:money拡大版@RubyKaigi 第2弾」、たぶん、もしかしたらやる…かも。
だとしたら今年の反省を踏まえつつ、もっと参加者を巻き込む形で楽しめるものにしていけたらと考えている。
p.s.
rake:money拡大版に言及してくれたブログ、つぶやきへのコメントを以下につらつらと。
→まあ毛色が違うセッションではあったと思います。「RubyKaigiで一番Ruby関係ないセッション」と自分で言っちゃったし。
rake:moneyの異色さが、いい感じにRubyKaigiの盛り上がりに多少でも貢献できてたとしたら良かったです。
フリーランスの代表として id:oukayuka さんは、「能力に見合った対価」の必要性を何度も表明されていた。
会場では、スペシャルな才能は、相応の対価を提示できるフットワークの軽い企業に集まり、年功序列を基礎に置く大企業は平均的なエンジニアを抱えるという2極化が進むという未来を描いた形になったように見えた。そしてこの状況は大企業がオープンなエンジニアのコミュニティへの関与を緩やかに進める現在に於いても、大きくは変わらないだろうという。
とりあえず不遇にあえぐ優秀なエンジニアってのがいるのかどうか、が焦点だろうか。
そういう人達を救う状況に持って行けば、双方ハッピーな世界が待っているのはわかる。ただ、米国の様に、人気職業で2位、という状況になる世界の裏には、平凡な能力のエンジニアは徹底的にコストの安い国で調達する、という状況もセットなんだろうなあ。つまり市場に対して国内のエンジニア人口の比率というのは減少するってことだね。
→なんか言いたいことがちゃんと伝わってて感動ですね。
後半の懸念に対しては、私はそうあるべきだと思っています。2ちゃんねるによくスレッドを立てるブラック企業云々で働く自称「エンジニア」たちですが、私にはどう見ても彼らが自らの意志でその職業を選び、好きでプログラムを書いてるようには見えません。
リーマンショック以降、日本のIT業界でも内製化が進む中で、これから彼らのような技術にコミットできないエンジニアは市場から必要とされなくなっていくと思います。彼らの職業的適性は他にあると思うので、それはそれでお互い不幸なこととは私は思いません。
・エンジニアは意欲をもち成長しサービスに広く関わり成果を上げ高い報酬を得るというストーリーに賛同できるかどうか - 反言子
金に興味のないエンジニアとして、たとえばこういのだ。「企画をやりたくない、自分にできる一定範囲の仕事をこなして生活に困らない程度の報酬がほしい」。「サービスの成功・失敗が報酬に関係してほしくない。たとえよいソフトウェアをつくっても評価されないことがあるなんて冗談じゃない」。「企画も金も好きなひとが考えればよい。自分には関係ない、好きじゃない」。
企画におけるエンジニアの裁量が大きくなって、過渡期みたいなところで、成功すれば企画のおかげ、失敗したらエンジニアのせい、みたいな不当な責任の押しつけを受けてしまうことはないだろうか。
「エンジニアが企画も」っていうのは、どうも、美しい言い回しには僕は感じられない。やりたいひとはやればいいし、そのひとの視点、能力が貴重には違いないんだろうけれど。だってサービスってチームがつくるものでしょ。チームの組み方を工夫すれば。
→えっと、その「金に興味のないエンジニア」を私は否定していません。そういう人たちは社内SEとかの職に就けばいいと思います。ただし内製をメインとするような企業では、今後難しくなるでしょうね。
エンジニアでも企画を「やりたいひとがやればいい」というのは私も同感。しかしこれまではそういう道自体がほとんどなく、またエンジニアが会社に多大な利益をもたらしとしても、それに報いる報償体制が日本の企業にはなかった。
一部の先進的ネットサービスやソーシャルアプリの企業において、企画にエンジニアが参加して収益が上がればそれに報いるというシリコンバレー型の報酬体制を採用する風潮が出つつある。それは日本のエンジニアにとって望ましいことだし、もっと促進されていくべき動きだというのが私の意見です。
ソウダッタンデスカー。それは主宰の私も知らなかった。
まあパネラーの方々に対して紹介くらいはできるので、言ってもらえれば次からは役に立てるかも。


















